16a5684a.jpg横須賀線は、品川23:31発久里浜行きが出発した後は、品川0:00発逗子行きが最終電車である。逗子に帰り着くには品川0:00発に乗ればタクシーのお世話にならずに済むが、実際は難点が多く、品川0:00発の逗子行終電に乗るのはなるべく遠慮している。

その難点というのは、終電はたいそう混むので、酔っ払いオヤジのクサイ息を吹きかけられたりするのは勘弁というのはもちろん、終電間際に首都圏のどこかの路線でダイヤが乱れ、その連鎖が広がって、乗り継ぎ客の最後の受け皿となった終電が遅れて、さっさと帰りたいのもかかわらず、家に着くのが思いもよらない時間になってしまうことである。

終電で帰れるかどうかは普通のサラリーマンにとっては死活問題。終電が待っていてくれるのはこの上ないサービスではあるが、待たされる身には迷惑なこと極まりない。

終電間際の電車が遅れる原因はいろいろある。

車両故障や人身事故といったよくある話に加えて、「お客様のトラブル」「車内点検」「混雑のため」といったものが多い。

客同士のトラブルや車内点検(多くの場合、汚物の清掃といわれる)は、ほとんどの乗客が酔っ払いであろう終電車にはつきものである。さらに終電は混雑するのが相場。なかでも悪名高い金曜夜の東海道線小田原行最終電車は、金曜だけ終電間際に増発電車があるにもかかわらず、大混雑となる。同じ大混雑でも朝のラッシュのような理性が利いたものではなくタチが悪い。酔客がスシ詰めとなる上、停車駅の間隔が長いので気分が悪くなる客も多く、車内ゲロでも発生しようものなら車内はたちまち阿鼻叫喚の地獄絵が現実のものとなる。

私の利用する横須賀線終電は、この東海道線終電との接続が約束されている。東海道線が遅れると、横須賀線終電は横浜駅と戸塚駅で忠犬ハチ公のようにおとなしく東海道線の到着を待たねばならぬ。ご主人様の東海道線終電は、もともと中央線や山手線からの接続が約束されているので、それらが遅れると、その影響は我が横須賀線まで伝播することになる。

やむを得ず乗ってしまった横須賀線の終電、思い起こす限り、横須賀線終電が終点逗子に定刻0:53に到着した試しが無い。先に述べたような理由でいつも東海道線が遅れるのである。果たして、10分程度の遅れが日常ではなかろうか。

ある日の東海道線の遅れの理由はこうだった。

 東京の多摩のはずれの路線で人身事故があった。その路線と接続する中央線が遅れ、それを待つ東海道線終電が遅れた。スシ詰めの東海道線、終電が発車しないことに業を煮やした酔っ払いが暴れるわ、発車を待っているうちに酔いが回って車内ゲロが発生するわで、横浜駅に都合30分以上遅れてきたことがある。
 この日、横須賀線はひたすら従順に待ちつづけ、終点の逗子到着は深夜1時半を回り、自宅に着いたら2時前だった。多摩のはずれで電車に身を投じた方も、はるばる離れた三浦半島の終着駅まで、迷惑を波及させたことは想像だにしなかったであろう。

かように、私は横須賀線の終電は避けて、品川23:31発横須賀線久里浜行を実質的な終電としているのである。(実際は23:31に乗れずとも、品川23:42東海道線に乗れば先発の横須賀線に戸塚で追いつく。が、東海道線の大混雑は覚悟しなければならない。また金曜夜に限り品川23:45発逗子行が増発されるのでそれを使うこともある)

では逆に横須賀線が遅れた場合はどうなるか、この場合は東海道線が待ってくれる。ルールに不公平はない。が、いつも割りを食うのが我が横須賀線、というのは間違いはない。

今日はその横須賀線の終電に乗ってしまった。逗子に着いたのはやっぱり20分遅れだった。